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ふたつ並べると、法則が見えてくる。

娘が時計を読めるようになったあとで、「なぜ早かったのか」を考えてみた ── 作者のあとづけの考察です。

このアプリは「AM と PM を隠さず見せる」ために、時計をふたつ並べています。それが設計の中心で、いまも変わっていません。ただ、使っていた娘の様子をあとから思い返すうちに、ふたつ並べたことには、もうひとつ別の働きがあったのではないかと考えるようになりました。この記事は、その後づけの考察です。

01

答え合わせは、あとから来た。

知育時計ふたときアプリを使いはじめて、作者の娘 (当時 5 歳) は 4 日ほどでアナログ時計を読めるようになりました。デジタル時計は読めるのに、アナログ時計だけ読めない ── 保育園でそのことに落ち込んでいた時期です。作者の子 (N=1) の事例なので、一般化するつもりはありません。ただ、作った本人として「なぜこんなに早かったのか」は、ずっと気になっていました。

作っているあいだ、盤をふたつ並べる理由は「AM と PM を見せるため」だと考えていました。1 日に 8 時が 2 回あるという事実を、子どもの目の前に出す。それがこのアプリの出発点です。

けれど、娘がどこを見ていたのかを想像しながら考え直すうちに、ふたつ並んでいること自体に、もうひとつの働きがあったのではないかと思い至りました。作っている時点で薄々感じていたのかもしれませんが、言葉になったのはあとからです。

02

ひとつだと、ランダムに見える。

子どもにとってアナログ時計は「いつの間にか形が変わる不思議なモノ」です。さっき見たときと、いま見たとき、針は別の場所にいる。その間の動きを見ていなければ、変化はほとんどランダムに見えます。

ひとつのものを相手に「さっき」と「いま」を比べるには、記憶が頼りです。さっきの針がどこにいたかを覚えておいて、いまの針と頭の中で重ねる ── 大人が無意識にやっているこの作業は、子どもにはまだ難しいことがあります。比べる相手が目の前にいないのですから、無理もありません。

そして、ランダムに見えているあいだは、文字盤の数字も針の長さも、覚えるべき「バラバラの何か」のままです。そこに決まりがあると分かってはじめて、ひとつひとつの部品に意味が生まれます。

03

ふたつだと、「いつも同じ」が見える。

時計をふたつ並べると、比べる作業が目の前でできるようになります。知育時計ふたときアプリの AM の盤と PM の盤は、いつ見ても同じ顔をしています。針の位置は、朝でも夕方でも、ふたつでぴったり一致しています。

24 時間表記にすると、この一致はもう少し面白い形になります。PM の盤の数字は 13〜23 に変わるのに、針の位置だけは AM の盤とまったく同じ。「1 時と 13 時は、名前は違うけれど同じ顔」── 数字が変わっても崩れない一致が、そこに残ります。

片方だけ見ていれば「ランダムに変わる何か」だったものが、並んだ瞬間、「いつも完全に同じ動きをするふたつ」になります。「あ、こっちとこっち、いつも同じだ」── そこに気づいたとき、時計は子どもの中で、気まぐれなモノから「決まりに従って動いている機械」に変わり始めるのではないかと考えています。

04

法則は、並べたものの上に浮かぶ。

法則というものは、例がひとつだけだと見つけにくいものです。1 回きりの出来事は、偶然と区別がつきません。「あれもそうだ」「これもそうだ」と、具体的な例をいくつか並べて見比べたとき、はじめて共通の決まりが浮かび上がります。

ことばの学びも、数の学びも、たいていそうやって進みます。りんごが 3 つ、みかんが 3 つ、おだんごが 3 つ ── 並べて見比べるうちに、「3」という、どのくだものでもない何かが取り出されてくる。見比べられる数が足りないうちは、法則はなかなか姿を見せてくれません。

時計をふたつ並べるのは、その「見比べる機会」を時計そのものに組み込むことでもあった ── いまはそう考えています。ひとつの時計をじっくり観察できる子なら、時間をかけて同じ場所に辿り着けるはずです。ふたつ並べることは、時間のかかるその観察を空間に置き換えて、いま目の前で済ませられるようにした、と言えるのかもしれません。

05

「ふたつ」の意味は、AM と PM だけではなかった。

そういうわけで、「なぜふたつ並べるのか」への答えは、いまはふたつあります。ひとつは、設計したときから変わらない「AM と PM を隠さず見せるため」。もうひとつは、あとから言葉になった「見比べる相手がいると、時計の法則性に気づきやすくなるのではないか」です。

後者はまだ、作者の子の様子から遡って考えた仮説にすぎません。それでも、ふたつの盤を前にした子どもがどこを見ているかを想像するとき、この見方はけっこう役に立ちます。教え込むのではなく、「同じだね」と一緒に確かめる ── それだけで届くものがあるように思うからです。

  1. 01. 並んだふたつの盤で、針が同じ位置にいることを見比べる
  2. 02. 自動回転で 1 日を回して、ふたつがずっと同じ動きを続けるのを眺める
  3. 03. 自由回転の「かさねる」で盤をかさねて、ぴったり重なるのを確かめる

どれも「教える」場面ではなく、「同じだね」と言い合うだけで十分だと考えています。

GUIDE

親子で読み方を育てる

気づきを教え込みに変えないための順番と声かけ例を、8 つのステップにまとめてあります。

親子の会話 8ステップを見る

ふたつを、一緒に眺めてみよう。

時計がランダムな不思議から「決まりで動くもの」に変わる瞬間は、たぶん外からは見えません。ある日ふりかえると、読めるようになっている ── 娘のときも、そうでした。

ふたときアプリは、ブラウザで開くだけ。アカウント登録もインストールも要りません。ふたつ並んだ盤を、まずはお子さんと一緒に、ただ眺めてみてください。

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